活動報告

公益財団法人 山本能楽堂
(2019年上期)

今年2019年が、日本とブルガリアが「日・ブルガリア交流開始110周年記念」「外交関係樹立80周年」及び「外交関係再開60周年」の『三つの周年』が重なる特別な年であり、ブルガリアの第二の都市・プロブディフが「欧州文化首都2019」に選ばれ、年間を通じて多数の文化事業が実施され、世界各国から膨大な観光客が集まる。その「欧州文化首都2019」のメインイベントとして山本能楽堂の本公演が開催されました。
この文化事業に対し支援いたしました。

本公演の能は、この日のためにブルガリア人俳優と共同制作を行った新作能「オルフェウス」で、能楽師とブルガリア人がそれぞれ現地を訪れ、何度も能の稽古が行われました。また、一般参加のブルガリア人のこども達20名にも能の稽古を行い、ワークショップでは自分達の衣装や小道具を手づくりされました。
ギリシャ神話の「オルフェウス」は、バルカン半島では一般常識としてよく知られており、今回の事業では「オルフェウス」をもとに、ヨーロッパの人々は能について、能楽師はギリシャ神話に表現されるヨーロッパ人の価値観についてお互いに学び、相互理解を深め、心から感動し、能への理解・日本文化への理解を深められました。また、現地のこども達が大勢出演することで、伝統だけにしばられる古く固い芸能ではなく、「現代における魅力的な芸能」として、現代社会に適合したカタチで国際社会における日本文化への理解を深めることを期待しております。現地の人々との共同制作による「国を超えた制作の場づくり」を通して国際文化交流を促進し、情報発信することができると考えられます。
さらに、多種多様な歴史や文化、価値観を持った世界の人々が、相互理解を深めることで、世界平和は維持・実現できると考えており、今回の事業で一つの作品を共同で作り上げることで新しい価値観が生まれ、この事業の成果が欧州文化首都事務局より各国の様々な媒体で配信されることで、能の歴史を活かし、より国際相互理解を深めることで、国と国、人と人が調和し、異なる価値観を認め共有し、共生することで、文化の力・日本の伝統芸能「能」で世界平和の実現へとつなげていただけることを願っております。

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